おすすめ♡恋愛映画 〜運命の人“ツインレイ”かも?〜#01『めぐり逢えたら』 SLEEPLESS IN SEATTLE
レビュー(??)vol.1

CINEMA-2

作品データ

(1993 USA) 105分

監督 ノーラ・エフロン
脚本 ノーラ・エフロン
    デヴィッド・S・ワード
    ジェフ・アーチ
原案 ジェフ・アーチ
製作 ゲイリー・フォスター
共同製作 デリア・エフロン
製作総指揮 リンダ・オブスト
      パトリック・クロウリー
キャスティング ジュリエット・テイラー
音楽 マーク・シェイマン
美術 ジェフリー・タウンゼント
撮影 スヴェン・ニクヴィスト
衣装 ジュディ・ラスキン 
編集 ロバート・ライターノ

出演 
メグ・ライアン………………………アニー・リード
トム・ハンクス………………………サム・ボールドウィン
ロス・マリンジャー…………………ジョナ・ボールドウィン
ロージー・オドネル…………………ベッキー
ビル・プルマン………………………ウォルター
リタ・ウィルソン……………………スージー
ヴィクター・ガーバー………………グレッグ
ギャビー・ホフマン…………………ジェシカ
バーバラ・ギャリック………………ヴィクトリア
ロブ・ライナー………………………ジェイ

あらすじ

シカゴに住む建築家のサムと息子ジョナ。
妻のマギーと死別して以来、サムは仕事にも身が入らず、心機一転シアトルに移り住む。
かたや、クリスマスイヴ、ボルチモアに住む新聞記者のアニーは、恋人ウォルターと婚約したことを親族の集まりで披露していた。
その帰り道、車を運転していたアニーは、ラジオの人生相談の番組で、シアトルに住む8歳の少年ジョナが、クリスマスの願いに「パパに新しい奥さんが欲しい」と話しているのを耳にする。
ラジオのパーソナリティに無理やり電話口に引っ張り出されたサムは渋々口を開き、亡き妻への想いを語り始める。その声を聴きながら、アニーはいつの間にか涙を流していた。
その日以来アニーは、遠く離れた見ず知らずのサムのことが頭から離れなくなる。

レビュー(??)vol.1

もう何度観たか数えきれない、ラブコメディの傑作。
映画『めぐり逢い』(1957)をモチーフに展開させて、遠く離れた男女が目に見えぬ運命でつながっている「奇跡」をうまく導いています。
ノーラ・エフロン監督が、女性監督ならではのやさしさと繊細さを以って、軽やかに、かつ純粋に運命のカップルを描き、劇中でいうところの“マジック”を感じさせる作品に仕上げています。

メグ・ライアンのキュートな美しさが光る、コメディエンヌとしての軽やかさが抜群です。
トム・ハンクスの役柄に与える誠実であたたかな印象も、主人公の相手としての説得力があります。
2人は、劇中でたった3シーン(しかも短い)でしか出会わないけれど、2人が真実のカップルだと、誰もが納得するような相性の良さが感じられます。
子役もめちゃくちゃ上手くて、その他の脇を固める俳優たちもぴったりなキャスティングです。

観終わった後、心が明るく満たされる、チャーミングで幸せな作品。

製作に関して

DVDに入っているコメンタリーで、ノーラ・エフロン監督とその妹で共同製作のデリア・エフロンの2人の製作秘話を聞けます。デリアは元ジャーナリストで、本作の撮影現場でノーラと脚本の手直しをするにあたり、TV脚本家の夫のアドバイスに助けられたと言っています。

本作は、撮影に入る以前に、脚本家や監督の交代劇が繰り返されたようです。
「遠く離れた男女が運命でつながっている」という着想自体はおもしろいけれど、現実的にどう展開させていくかは、脚本の時点でかなり試行錯誤したようです。

最終的に、監督がノーラ・エフロンに決まって、彼女を補助する形でデリアが参加、現場でも役者の意向を取り上げたり、常に修正を加えながら製作されました。
女性が主軸で製作された作品だからこそ、女性が共感できる感情をよく描けていると思います。
監督自身も10代の頃、「運命の人」がいるのを信じていて、人生経験を経てもその考えは消えなかったと語っています。女性の多くが、少なからずそういったロマンチックなアイディアを持っている気がします。

当初、トム・ハンクス演じるサムは、ちょっと弱々しくインパクトに欠ける人物像だったらしく、それに対して、現場でトムのアイディアやアドリブが採用されながら、より深みのあるキャラクターに仕上がっていったようです。
ノーラもデリアも、トムの指摘には気を遣ったようで、現場でセリフや流れを変えることも多かったとのこと。結果、サムとジョナ親子のキャラクターは、とても魅力的なものになり、トムがこの作品に関わった貢献は大きかったと言えるでしょう。
サム親子の共演場面は生き生きとして、とても微笑ましく楽しい雰囲気になっています。

メグ・ライアン演じるアニーのキャラクターに関しては、「不感症の共産党支持者」というイメージが監督からの提案だったようです。
アニーは偶然出会った気の合う男性ウォルターと流れで結婚するタイミングにいて、そこにときめきや情熱などを感じていません。
アニーの母が、父と出会った当初 “マジック”(=奇跡)のような幸福感を感じたという経験を聴いて、自分の相手にその感覚がないことに気づかされます。
その時点まで、アニーはおそらく頭で考えて物事を決める習慣があり、その一方で映画『めぐり逢い』のようなロマンチックな出会いに憧れてきた自分がいる。母の言葉で、その眠っていた自分の内なる本能がザワつき始めることになります。
正しいと思っていた自分の在り方が実は違うのではないかという戸惑いが、メグのほとんど無表情に近い表情の奥に感じられます。

運命を感じさせる隠れた演出として、離れた男女が同じ時間に同じような行動をとっているシンクロで見せています。
例えば、アニーが兄デニスの仕事場を訪れて去るときに出たドア、その次のカットで、同じドアをシアトルにいるサムが開いて出てきます。
これは実際に同じドアを、シアトルとボルチモアで移動させて使ったそうです。
他にも、夜のベンチに座って物思いに耽るシーンも、シンクロしています。
ジョナが「蜘蛛が出た」と言ってサムを驚かせて、「ビックリさせるな」と叱られながら階段を上がっていく同じ頃、アニーも「ビックリさせないで」とウォルターに言いながら階段を上がっていきます。
また、サムが亡き妻を思い出しながらジョナに語るエピソード、「ママはね、リンゴの皮をリボンのように細くつなげて剥いていたよ」というのを受けて、アニーが夜の台所でリンゴの皮をリボンのように剥いていくシーンが登場します。

サムが空港で初めてアニーを見かけるシーンがあります。
そこから後、赤いユニホームを着たスポーツ選手の一団が通り過ぎたり、アニーが借りたレンタカーが赤い車だったり、それ以前のシーンでは極力赤い色を使わず、2人が出会った後から運命が本格的に動き出すのをイメージさせる「赤」を意図して配置したそうです。

他にも、2人が離れているのを視覚で見せるために、「地図」を使っています。
オープニングとエンディング・クレジット、半立体のアメリカ地図の上に星が配置され陽が開けていく絵本のようなチャーミングな画像。これはCGを使って作ったそうで、当時はまだCG技術が発達していなかったため、監督は「もう経験したくないと思うほど大変だった」と語っています。
地図は他にも、サムの家のキッチンでとても効果的な小道具として使われているのと、アニーがボルチモアの新聞社でエレベーターに乗る時に持っている衣装カバーの柄にもあり、さらにアニーがNYでウォルターといるティファニーのショーウィンドウのディスプレイに、赤いハートの連なった輪がついた地球儀が写っています。(このディスプレイがとてもステキ!)

また、衣裳やメイクに関しても、よりオーソドックスなクセのない衣装やヘアスタイルを選び、いつの時代に観ても違和感のない、普遍的な作品を目指している意図があります。

音楽がほとんど途切れることがないほど次から次へ流れていて、ちょっと珍しいレベル。
ほとんどが歌入りで、その歌詞を以って人物の心情を表していて、監督が狙った表現のようです。
スコアには、本編のモチーフになっている映画『めぐり逢い』の編曲もあります。

つづきは次回
次の記事では、ストーリーについて、ツインレイ・ポイントも含めて書いてみます。

R♡今日も愛してる
Solo Penguin

03.22.2024

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