外国映画 字幕版?吹替版?
もうひとつの選択肢

CINEMA-2

字幕なしで観る

さて、前回は、外国映画を観る際に字幕版か?吹替版か?、そのメリットとデメリットを私見で述べました。
これまで2,000本以上の外国映画を観てきて、そのほとんどすべてを字幕版で観たのは、字幕版のメリットを個人的に重視したからです。

今回は、更におすすめの鑑賞方法をお伝えしたいと思います。
ただし、今回は個人的な経験談を交えて前回の記事よりも感覚的でフワッとした内容になると思います。

極論、字幕版でも吹替版でもなく、原語のまま「字幕なしで観る」、これが最もおすすめです。
それができれば、そもそもこんな議論の必要もないわ、という声が聴こえてきそうな結論です。

そのとおり、たしかにそのとおり。
私も英語がかろうじて少しわかる程度で、他の言語の映画をそのまま観ても理解できません。
ですので、英語の映画のみで試してみています。

私は海外旅行に行くと、たまに現地の映画館に行きます。
ある時、イギリスのロンドンの映画館で『キャプテン・フィリップス』を観ました。
英語が原語の作品なので、イギリスでは字幕はありません。
日本人が日本映画を観る時と同じような感じです。

『キャプテン・フィリップス』は巨大タンカーがソマリア沖で海賊の襲撃に遭った実際の事件を元にしたハリウッド作品。
主演はトム・ハンクス、監督が『ユナイテッド93』や“ジェイソン・ボーン”シリーズのポール・グリーングラスです。
ハリウッド映画は、話の流れがわかりやすく映像表現や展開を工夫してあるので、セリフの細部を拾えなくても、理解しやすくできています。
この作品も字幕なしでほぼ理解できました。

グリーングラス監督お得意の緊迫感を高めていく映像編集と音楽、ソマリア系俳優の鬼気迫る熱演、トム・ハンクスの演技は過去最高の演技を見たと思います。
字幕というフィルターを外して観ることで、作品の空気感がよりダイレクトに伝わって、心にしっかり入ってきた実感がありました。

字幕がテンポを刻んでいたことに初めて気づきました。
字幕の下に、役者の演技の息遣いや映像のテンポが生む空気感、自由な時間が存在していることを知りました。
時計に例えるなら、クオーツ式と機械式の違いのようです。秒針がカチカチと進むか、ツーと途切れず進むかの違いと似ています。
字幕なしで観ると、作品の持つ力を直に感じ取ることができると思います。

言葉を掘り下げて理解する必要のあるコメディや難しい内容の映画を原語で観るのは、言語を理解していないと難しいと思いますが、アクション映画やシンプルなお話のものは映像を観ているだけでもほぼ理解できるでしょう。
ぜひ、「原語で字幕なし」、役者の生の声と作品に流れる時間と空気感を体験してみてください。

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